
今回は、「やぐら」です。
◎やぐら
・中世鎌倉を取り巻く丘陵山腹を穿って造られた仏堂的横穴墳墓などの総称。
※やぐらの図は「ココ」を参照。
鎌倉には千基以上のやぐらがありますが、次の5カ所をピックアップしました。
◎明月院やぐら(山ノ内)
・明月院開山堂の横にある「明月院やぐら」は、「羅漢洞」ともいわれています。
・やぐらの間口約7メートル、奥行き6メートル、高さ3メートルで、鎌倉市現存の
最大級です。
・やぐらの壁面中央には「釈迦如来」、「多宝如来」が浮き彫りにされています。
・中央に明月院開基の関東管領「上杉憲方」を祀る宝篋印塔、その前には禅宗様式を
表した香炉が安置されています。
◎朱垂木やぐら(二階堂)
・天園ハイキングコースの途中にある十王岩の南西の山腹にあります。
・やぐらの前面には低い基壇があり、仏像を安置したと思われるが、このやぐらには、
納骨穴がありません。
・羨道の天井に、紅殻塗りの太い平行線の模様が多数描かれています。
・仏殿などにある朱塗りの垂木を表したものと見られ、そこから「朱垂木」という名前
が付けられています。
◎百八やぐら(二階堂)
・覚園寺への道から途中右脇道を上った「杉ヶ谷」と呼ばれる谷戸の斜面にあります。
・約百八十穴ほどあるといわれ、鎌倉で最も規模が大きいやぐら群。
・数が多いことから、仏教でいう百八の煩悩になぞらえて付けられた名のようだ。
・ここでは一般的なやぐらの形から珍しい様式まで、鎌倉にあるほぼすべてのやぐらの
形式が見られる。
◎瓜ヶ谷やぐら群(山ノ内)
・「葛原岡神社の北側の谷」にある五穴からなる鎌倉時代のやぐら群。
・内部に丸彫りの地蔵菩薩像があるものは「地蔵やぐら」ともいわれる。
・鳥居形、五輪塔など壁面彫刻が多いことでも知られる。
◎腹切りやぐら(小町)
・宝戒寺後方の屏風山と小富士山に囲まれた葛西ヶ谷の奥、東勝寺跡内にあります。
・新田義貞の鎌倉攻めで自刃した北条高時はじめ、北条一族の屍を葬ったとされるが、
実際の埋葬地は釈迦堂ヶ谷奥やぐら群と推定されています。