2015年04月07日

やぐらのこと―鎌倉検定2014年1級の問題から見た鎌倉(5)

「2014年の鎌倉検定1級の問題」を見ながら、逆に“鎌倉を知る”に挑戦してみます。
⑸ 次のやぐらと関連地域の組み合わせで正しくないものはどれか。
 1 朱垂木やぐら−十王岩の南西の山腹  2 百八やぐら−杉ヶ谷
 3 唐糸やぐら−釈迦堂切通の上方    4 瓜ヶ谷やぐら群−浄光明寺の背後の丘陵
 

→鎌倉検定公式テキストブック P43参照。

やぐら」とは、鎌倉検定公式テキストブックでは次のように説明されています。
 中世鎌倉を取り巻く丘陵山腹を穿って造られた仏堂的横穴墳墓などの総称
 一般的に、内部は方形に削られた玄室、中央に羨道(玄室に向かう通路、あるいは入口)がある。
 墳墓としてのやぐらには、玄室内に壇を設けて納骨穴を造り、その上に五輪塔や宝篋印塔など供養塔を置き、内部は漆喰で塗り固めているものも残る。
 仏堂的側面の強いやぐらには、壁面に梵字や五輪塔、仏像などが彫刻されているものもある。

問題の各やぐらの場所は、次の通りです。
やぐら地図.jpg

鎌倉検定公式テキストブックの説明を要約して次に示します。
朱垂木やぐら
朱垂木やぐら1.JPG

朱垂木やぐら2.JPG
天園ハイキングコースの途中にある「十王岩の南西の山腹」にあります。

やぐらの前面には低い基壇があり、仏像を安置したと思われるが、このやぐらには納骨穴がない。

羨道の天井に、紅殻塗りの太い平行線の模様が多数描かれている。
(写真下)
これは仏殿などにある朱塗りの垂木を表したものと見られ、そこから朱垂木という名前が付けられている。
百八やぐら
百八やぐら1.JPG

百八やぐら2.JPG
覚園寺への道から途中右の脇道を上った「杉ヶ谷」と呼ばれる谷戸の斜面にあります。

約百八十穴ほどあるといわれ、鎌倉で最も規模が大きいやぐら群。

数が多いことから、仏教でいう百八の煩悩になぞらえて付けられた名のようだ。

ここでは一般的なやぐらの形から珍しい様式まで、鎌倉にあるほぼすべてのやぐらの形式が見られる。
唐糸やぐら(非公開)
<下記の「釈迦堂切通の上方」にある。>
 ※釈迦堂切通は通行止め
唐糸やぐら方向.JPG
室町から江戸初期に作られた御伽草子の『唐糸草子』ゆかりのやぐらといわれている。

木曽義仲は、源頼朝を暗殺しようと、家臣の娘で琵琶と琴の名手、唐糸を鎌倉へと送る。唐糸は頼朝を暗殺しようとしたが果たせず、このやぐらに幽閉されてしまう。
その後、母の唐糸を探しに来た娘の万寿姫は頼朝に気に入られ舞を舞う。
そして、頼朝に願い出て母親を救い出すという伝説だ。
瓜ヶ谷やぐら群
瓜ヶ谷やぐら1.JPG

瓜ヶ谷やぐら2.JPG
葛原岡神社の北側の谷」にある五穴からなる鎌倉時代のやぐら群。

内部に丸彫りの地蔵菩薩像があるものは「地蔵やぐら」ともいわれる。

鳥居形、五輪塔など壁面彫刻が多いことでも知られる。

 ※「浄光明寺の背後の丘陵」にあるやぐらは、「多宝寺址やぐら群」です。


つづく・・・
 
posted by トシ999 at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 鎌倉検定(過去問) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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